平成18年度共同研究報告書の発行にあたって

 

 気候システム研究センター(CCSR)の平成18年度共同研究に関する報告を取りまとめましたので、ご覧いただければ幸いです。この場を借りて、直接、間接に共同研究にご協力をいただいた関係者にお礼を申し上げます。

 昨年から今年にかけての時期は、CCSRにとって、新旧の活動が入り交じる位相転移の時期になりました。2月には当センターも大きく貢献したIPCC1作業部会の第4次報告書がIPCC総会において受諾されました。そのなかで、地球温暖化現象が科学的にも高い確度で実際に発生していることが結論され、社会的にも大きな関心を呼びました。季節の折々にそのことを思い出させる様々な気象現象や、氷床の減少なども頻繁に報告されるようになりました。CCSRでは、このような気候の変動現象の理解とその予測性の研究を行っていますが、プロジェクト的に見ると、まず、人・自然・地球共生プロジェクト(RR2002)が昨年度で最終になり、地球シミュレーターで計算された20世紀再現と21世紀予測の計算結果と解析結果がまとめられました。また、新たな試みとして始まった企業連携の「気候環境アプリケーションコン創成ソーシアム」プロジェクトが最初の年を迎えました。さらに、今年度からは連携の枠を全国の大学に拡げる試みとして、東大、東北大、千葉大、名古屋大学の気候研究に関わる研究センターが協力する特別教育研究経費事業「地球気候系の診断に関わるバーチャルラボラトリーの形成」がスタートしました。さらに、RR2002の後継とも言える「21世紀気候変動予測革新プログラム」も始まりました。

 CCSRでは、科学的にも社会的にも重要なこのような地球気候の研究を全員がフル稼働の状態で推進していますが、とても規模の小さい組織だけでは十分な研究は進みません。また気候研究の特性上、多くの知識が必要となります。従って、このような努力がおおきなインパクトを産むためには、全国の研究者とともにこの問題を考えることが重要であると思っています。そのために、上述したような新しいプロジェクトとともに、気候システム研究センターの共同研究をより一層、発展させていきたいと思っていますので、皆様の協力を是非ともお願いします。

 

 平成19年5月

 

東京大学気候システム研究センター長 

中島 映至