平成20年度共同研究報告書の発行にあたって
気候システム研究センター(CCSR)の平成20年度共同研究に関する報告を取りまとめましたので、ご報告します。
気候システム研究センターが1991年に設立され、今年でちょうど20年を迎えます。この間、2004年には大学法人化後の東京大学の部局としての改組、そして2005年には柏キャンパスへの移転などがありました。平成22年4月からは、CCSRは海洋研究所と発展的に統合し、新たな大気海洋研究所として、地球表層圏に関する一大研究拠点に生まれ変わろうとしています。共同利用の形態も、これまでの全国共同利用施設から、文部科学省の新たな制度である共同利用・共同研究拠点に衣替えをします。
振り返ってみると、設立当初の気候モデル開発の大きな夢は、上のようないくつかのターニングポイントを通って、ほぼ順調に発展してきたと思います。
むしろ期待以上の発展を遂げたと言っても良いと思います。この間生まれたモデル群や解析的研究による成果は、IPCC第3次評価報告書、第4次評価報告書などにも多く引用され、国際的にも広く認知されるようになりました。モデルユーザーも全国、世界に広がりつつあり、また学生がモデルを走らせて研究に利用するという時代になりました。このような発展は、CCSR内部の努力と平行して、他の研究部局や機関、そしてそこに所属する多くの研究者による協力があったからだと思います。CCSR設立から大気海洋研究所への道のりのなかで、このような共同研究を通して、気候システム研究の宿命ともいえるより多くの分野の研究の吸収が非常にうまく行きました。これこそが、気候モデル作りのCCSR型ビジネスモデルであるといえます。今後、このような気候システム研究の場は、共同利用・共同研究拠点としての大気海洋研究所に受け継がれますが、本CCSR共同研究についても、より良い研究の連携がモデル開発に反映できるような新しいプログラムとして衣替えをしますので、皆様のご協力をお願いしたいと思います。
平成21年4月
東京大学気候システム研究センター長
中島 映至