気候システムとは

 気候システムとは何でしょうか?我々の住むこの地球環境には様々な物理現象が起こっており,それを総称して「気候」と呼んでいます。端的には長年にわたって平均した気温や降水量,そしてそれらの地理的な分布と言ってよいでしょう。「気候」は大気、海洋、陸地面などの間の相互作用によって起こっています。「気候システム」とは気候を決める地球表層のサブシステムを総称したものです。

 下の図にみるとおり、気候システムでは大気・海洋の運動、雨や雪・氷、雲などじつにさまざまな物理過程が働いており、それらの相互作用の結果として気候が決まっています。気候システム研究センターでは気候システムの数値シミュレーションモデルの開発や観測データの解析によって気候システムの仕組みの解明をおこなっています。長年の平均値だけでなくいわゆる異常気象や氷期。間氷期サイクルなど気候システムに生じる時間的な変動や二酸化炭素やエアロゾルの増加に対する気候システムの応答の仕方を研究することもシステムを理解するのに大変重要なことです。


地球の気候システムの中では、さまざまな現象が起こっています。それらの中には我々が気候の変動と呼ぶ大規模で持続的な変動現象が含まれています。

人間活動に伴う汚染物質や熱の放出は、地球規模で見ても無視できない大きさになってきました。例えば、二酸化炭素やメタンガスは着実にその濃度を増しており、その結果、地球の温暖化を引き起こす可能性が生じています。(写真:1991年湾岸戦争に伴う油井火災)

火山起源の成層圏エアロゾルの発達が顕著な気候の変動を引き起こすことは、最近の大噴火の例から次第に明らかになってきました。(写真:噴煙をあげるピナツボ火山、PPS通信社提供)

水は、気候システムと言う熱機関にとって、熱をも運ぶ大変重要な媒体です。その分布は気候システムの変動と強くかかわっています。(写真:1993年台風11号による荒川河川敷きの増水、朝日新聞社提供)

これらの変動の原因と結果を結び付ける作業は必ずしも現在の段階では成功しているとは言えません。本センターでは、大規模な数値気候モデルを実行することによって、この作業を行っていきたいと思っています。例えば、二酸化炭素の将来における増加予想パターンを入力することによって、気候システムの変化の様子を逐次再現することも可能になります。この様な数値実験によって、過去、現在、未来にわたる気候システムの仕組みと変動のメカニズムを知ることこそ、今私たちが緊急にやらなければならないことであると考えます。


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