気候システム研究系長からのご挨拶

 
 
系 長
木本昌秀

 20104月より気候システム研究センターは、東京大学海洋研究所と統合し、東京大学大気海洋研究所気候システム研究系として新たに出発することとなりました。1991年の設置以来、気候の数値モデル開発を軸とした気候システムの研究において精力的な活動を続けてきた気候システム研究センターですが、改組を経てもその志(こころざし)は全く変わりませんので、これまで同様、ご支援とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 気候システム系は、引き続き、(独)国立環境研究所、(独)海洋研究開発機構や内外の研究者と協力しながら、地球温暖化や環境変動予測に耐える数値気候モデル群を開発し、また、それらを用いた気候形成、気候変動のメカニズムの解明に挑戦します。当然のことながら、コンピュータシミュレーションのみをもって足れりとするのではなく、これまで同様、衛星をはじめとする観測データの取得、解析を通じて、自然の真の姿に迫り、モデル計算の精度の向上に努めます。また、モデリングや気候解析を専門とし、将来の気候研究を牽引してくれる人材の育成にも引き続き力を注ぎます。

 折しも、昨年第3回世界気候会議が開かれ、気候変動の社会経済へ与える影響の大きさに鑑み、利用者が活用しやすい気候情報の提供を推進することの重要性が強調されました。われわれも、温暖化はもちろん、自然の気候変動も含めてよりよい情報が提供できるよう、研究を通じて貢献してゆきたいと考えています。しかし、身の丈に合わない活動範囲の拡張は、己を見失うことにもなりかねません。よりよい気候情報が社会に求められている今こそ、われわれがわれわれたる所以(ゆえん)の学問研究をしっかりと行うことが大切であると思っています。



 大気海洋研究所 気候システム研究系 系長   木本 昌秀