気候システムとはわれわれの住む地球の気候は大気、海洋、陸地面などの間の複雑な相互作用によって決まっています。 われわれは、物理システムとして気候を研究しています。しかし、本物の地球を用いて実験をするわけにはゆきません。そこで、コンピュータの中にもう一つの地球をつくって理解をすすめることにしました。コンピュータの中の気候モデルは、大気・海洋の運動、雨や雪・氷、雲のはたらきなどできるだけ物理法則に忠実に再現すべくプログラムされています。そして、システム全体はつねに観測データと対比を繰返し、検証されています。もちろん人知が自然を越えることはむつかしく、モデルはいろいろな欠点を持っていますが、数値実験をとおして自然の複雑な仕組みを理解するのに大きな助けとなっています。今後もさらにモデルの精度向上と自然の理解を目指してゆきます。
図1: 気候システムの概念図 気候は、さまざまなプロセスの間の複雑な相互作用の結果決まっています。
図2: 夏のアジアモンスーン。降水量(カラー)と大気下層の気流(矢印)。上は観測データ。下は大気大循環モデルによるシミュレーション。 水は、あるときには水蒸気や雲の形で大気中を移動し、またあるときには降水となって陸面や海面に降りそそぎます。豪雨や干ばつの分布も容易に変えてしまうグローバル水循環の解明は、気候システム理解の鍵といってもよいでしょう。
写真:1995年7月信越豪雨 集中豪雨による姫川の氾濫で寸断された大糸線 (毎日新聞社提供) 雪氷は、太陽放射をよく反射し、気温を低く保つはたらきをしています。逆に、気候が温暖化し、雪氷面積が減ると、温暖化が助長されることになります。海氷は海水中の塩分分布もコントロールしています。氷のモデリングは気候モデルの大きな課題の一つです。
写真:オリオンプレス提供 人間活動が気候を変えようとしています。産業活動にともなう二酸化炭素やメタンガスは着実にその濃度を増しており、地球は温暖化に向かっています。エアロゾルや雲の役割など、21世紀の気候の定量的な予測が求められています。
写真:オリオンプレス提供 [an error occurred while processing this directive] |