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地球温暖化問題


温室効果気体と地球温暖化

 二酸化炭素が増えると地球が暑くなる、と言われていますが、それはどういう仕組みで起こるのでしょうか。
 二酸化炭素、水蒸気など、赤外線を吸収するガスを「温室効果気体」と呼んでいます。
 これらの気体は大気中に1%以下しか含まれていませんが、もしこれらが全くなかったとすると、地球上の気温は平均で-18℃になってしまいます。
 温室効果気体が大気中に含まれていると、日射は吸収されないのでそのまま地上を暖めますが、地上から放射される赤外線は吸収されるため、その分、地上の気温が上がります。現在の全地球上の平均気温は15℃ですから、温室効果気体は地上気温を-18℃から15℃まで33℃暖める効果を持っているわけです。
 もし、この温室効果気体が増え続けた場合、赤外線を吸収する量が増えるため、地上気温が現在より高くなる可能性があるというのが地球温暖化問題の発端になっています。

温室効果の模式図


温室効果気体の動向

 温室効果気体は実際に増加しているのでしょうか。
 答えは YES です。二酸化炭素は産業革命以降、増加し続けていることが明らかになっています。過去10数万年の間には氷河期などで二酸化炭素の濃度が変動したことは知られていますが、産業革命以降はその時よりも大きな増加率で増大しており、しかも増加率は近年ほど大きくなっています。
 二酸化炭素のほかに人為起源で濃度が増大している温室効果気体に、メタン、フロンガス、一酸化炭素、地上オゾン(*)があります。

(*) 地上20kmの成層圏にあるオゾンは紫外線を吸収する働きをし、それらが減少すると地上に到達する紫外線が増えて生物に悪影響を及ぼしますが、地上付近のオゾンは主に赤外線を吸収する働きをし、温室効果気体の働きをします。

ハワイ・マウナロア山における二酸化炭素濃度の推移.
Link to the National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA),
Climate Monitoring and Diagnostics Laboratory (CMDL), Carbon Cycle Group.
フロン11の推移.
Link to the National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA),
Climate Monitoring and Diagnostics Laboratory (CMDL),
the Nitrous Oxide And Halocompounds division.
フロン12の推移.
Link to the National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA),
Climate Monitoring and Diagnostics Laboratory (CMDL),
the Nitrous Oxide And Halocompounds division.
二酸化炭素とメタン濃度の過去140年間の推移

(R. A. Houghton and G. M. Woodwell, 1989, Scientific American)

地上気温の動向

 温室効果気体は実際に増加していますが、地上気温もそれに従って上昇しているのでしょうか。
 気温は海洋や地表面などのさまざまな要因の影響を複雑に受けており、全球の年平均気温を見ても2,3年〜数十年以上の様々な時間スケールで変動しています。
 1880〜1994年のデータを見ると、長期的には0.6℃/100年の割合で上昇しています。しかし、この上昇傾向が温室効果気体の増加によるものなのか、あるいはより長い数百年スケールの変動の一部なのか、定量的に調べていく必要があります。

1880〜1994年の全球の年平均地上気温の変化

値は1961〜90年の平均からの差。点線は年平均気温、実線は5年移動平均。
(地球温暖化監視レポート1994 気象庁編より)

地球温暖化問題

 地球全体で地上気温が高くなると、人間生活に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
 地球温暖化によって次のような気候変化が起こると考えられます。

  • 乾燥・半乾燥地域での砂漠化の進行
  • 集中的な降水の増加
  • 海水の熱膨張による海水面の上昇
  • 積雪域・凍土の縮小
 これにより、自然環境も次のような影響を受けると考えられます。
  • 森林の衰退(特に半乾燥地域)
  • 気候帯が数100km極方向に移動
  • 環境の変化に適応しきれなかった種の絶滅
  • 海岸線の変化
 その結果、人間生活においても次のような社会的・経済的な影響が懸念されます。
  • 農業・畜産・林業への影響
  • 水利用への影響(洪水・渇水の増大)
  • 海岸・島嶼住民の移住
  • 港湾施設の破壊
  • 凍土地域での地形の不安定化、浸食・地滑べりの増大
 これらの問題を未然に防ぐために、温室効果気体が増加した時の気候変化を予測し、社会全体で対策を立てていく必要があります。

気候モデルによる研究

 温室効果気体が増加した時の気候変化を知るために、 気候モデル を用いてシミュレーションによる研究を行ないます。
 研究の第一段階として、海洋を表層のみ考慮した大気-海洋混合層結合モデルを用いて、二酸化炭素濃度を倍増させ、現在の二酸化炭素濃度によって得られる気候状態と比較を行ないます。その結果、高緯度では、地上気温の上昇によって積雪域が減少し、地表面の反射率が減少してさらに地上気温が上昇する、という正のフィードバックが働き、他の地域よりも気温上昇が大きくなると予測されています。

CCSR/NIES AGCM-海洋混合層結合モデルによる
二酸化炭素倍増時の気温上昇の年平均値


<解説>海氷のインパクトが過大評価気味なため、高緯度の海上での温度上昇が大きめになっている。
(高田他、日本気象学会1995年春季大会予稿集 p80)

 しかし、現在のモデルによる研究結果にはまだ多くの不確定性が含まれています。現在のモデルの解像度は水平数100km、鉛直数km程度ですが、それよりも小さな現象が気候変動に与える影響をどのようにモデルにとり入れるか、改良が続けられています。また、複雑な 気候システム には未解明の部分もたくさん残されています。
 例えば、雲は日射を反射する性質(冷却に働く)と赤外線を吸収する性質(温暖化に働く)を合わせ持っており、しかもその性質は雲の高度・粒径分布・組成(氷粒・水粒)などによって変化します。様々な雲がどのような放射特性を持つかはまだ良く分かっておらず、温暖化の予測研究において大きな不確定要因の一つとなっています。
 海洋循環も大きな不確定要因の一つです。気温上昇の時期や地域分布を明らかにしていくためには、海洋循環の変化が気候変化に及ぼす影響を取り入れることが必要です。そのために、大気大循環モデルに海洋大循環モデルを結合させた「大気-海洋結合モデル」による研究が進められており、気候システム研究系でも開発に取り組んでいます。また、海洋循環は二酸化炭素のグローバルな循環過程を解明する上でも重要なテーマとなっています。


注意: このページにある図を引用する時は出展・著者を明記して下さい。


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