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地球温暖化


地球温暖化

水蒸気や二酸化炭素やメタンなどの大気成分は地球放射を吸収して宇宙空間に熱が逃げて行くのを妨ぐので、温室効果気体とよばれています。産業革命以降、とくに大気中の二酸化炭素やメタンなどの温室効果気体が増えつづけています。一方、気温も19世紀以来0.8度。C程上昇していることをデータは示しています。この温暖化が人間活動による温室効果気体の増加によるもの(人為起源)か、それとも気候の自然変動によるものなのか、また、今後どれほど温室効果気体が増加して地球が温暖化するか、どのような影響があるのかが、現在問題となってます。地球温暖化に関わる総合的な気候システムのふるまいについて理解をすすめるため、CCSRでは大気海洋結合大循環モデルを開発し、超高速計算機を用いた数値実験に取り組んでいます。

数値実験による温暖化予測 図1

大気中二酸化炭素量を現在量の345ppmに設定した実験を標準実験(control run)、一方、大気中二酸化炭素濃度を年率1%で上昇した実験(CO2漸増実験)を行いました。標準実験では、現在の平均的な温度、降水量などの再現にほぼ成功しています。エルニーニョ南方振動(ENSO)や10年スケールから100年スケールの気候の自然変動も現れています。平均的な気候の性質だけでなく、ENSOなどの気候変動の性質が温暖化とともにどのように変化するかも研究課題です。 図1は全球平均の気温の時間変化について標準実験(●)と漸増実験(○)の結果を 比べたものです。CO2濃度が2倍に達する70年目、漸増実験における全球的に気温は標準実験に比べて約2度程高くなることがわかります。また、振幅約0.5度の自然変動が数年から数十年くらいの周期で見られます。今後、地球温暖化の兆候を検出する上でもこの気候の自然変動の性質をよく理解してゆくことが重要です。

図1: 全球平均の気温の時間変化 (●)印・黒線は標準実験、(○)印・赤線はCO2漸増実験

温暖化の地域分布 図2

温暖化の程度は地域によってまちまちのようです。図2はCO2濃度が2倍に達する約70年後の漸増実験と標準実験との年平均気温の差を示したものです。高緯度域や大陸上で温暖化が大きく進みます。一方、大洋上、とくに、大西洋や南極海周辺ではあまり温暖化は顕著ではありません。雪や雲の関わる過程で温暖化が増幅されたり、大気や海洋の循環の性質で場所によって温暖化が抑えられたりします。このように地域的な変化の他、季節的にどのような変化があるかを調べたり、降水量や土壌水分といったほかの気候要素について変化とそのしくみなど研究がすすめられています。

図2: 大気中CO2濃度が現在の2倍に達したときの気温上昇分布の計算結果。

海洋循環の変化 図3

海洋循環についても、表面の海流だけでなく、深くまで沈み込む北大西洋深層水(NADW)形成に伴う子午面循環を再現しています。図3は、CO2増加による温暖化に伴って、流量(NADW index)が徐々に減少してゆく様子をあらわします。

図3: 北大西洋の子午面海洋循環の変動。標準実験とCO2漸増実験の場合。

大気海洋結合大循環モデルとは 図4

「大気中二酸化炭素濃度が増加された場合に、気候システムはどう振る舞うか?」このような問題をはじめ、総合的な気候変動予測の研究に欠かせないのが大気海洋結合大循環モデル、超高速計算機上で計算する数値モデルです。何十年も先の気候を予測するためには、風や日射など大気の運動に関する計算だけでなく海洋の表面温度や海流に関しても同時に計算することが必要になります。気候センターではこれまで開発されてきた大気大循環モデル(AGCM)と海洋大循環モデル(OGCM)を基にし、さらに海氷モデルと河川流路網モデルも組み込んで、結合モデルを作成しました。

図4: 大気海洋結合大循環モデルの概念図。


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