衛星による雲・エアロゾルの観測

地球の気候は、太陽放射と地球からの赤外放射とのバランスによって決まっており、 そのバランスを変化させる大きな要因として雲が挙げられます。 また、雲自身は大気中に存在する微粒子(エアロゾル)を核として形成されています。 つまり、気候を知るためには雲とエアロゾルの分布、それらの関係を知ることが重要となります。


衛星から得られたエアロゾルの全球分布・微物理特性

衛星搭載センサから得られるデータをもとに、土壌粒子のような大粒子と、 人為起源の硫酸塩粒子・焼畑起源粒子などの小粒子の検知に世界で初めて成功しました。 東アジア・北米・ヨーロッパの都市域からは人為起源の小粒子、サハラやアラビアからは 砂漠などからの大粒子の流出が見て取れます。また、1月にはギニア沿岸、7月にはアフリカ南部や アマゾンからの森林火災起源のエアロゾルが見られます。

下図
NOAA衛星のAVHRRセンサのデータより計算された1990年1月と7月の波長0.5μmでの エアロゾルの光学的厚さ(上)、オングストローム指数(下)の月平均値 (オングストローム指数が大きいほど小粒子が多く存在することを表す) (日暮 明子 :現 国立環境研究所)

波長0.5μmでのエアロゾルの光学的厚さ(左図:1月 右図:7月)
オングストローム指数(左図:1月 右図:7月)

センサの2つの波長の情報を使用することによって、エアロゾルの光学的厚さと粒径に関する パラメータを得ることができますが、さらに紫外域の2つの波長を使用して、太陽放射を吸収する エアロゾルの存在を検出できるようになりました。土壌粒子や炭素粒子が太陽放射を吸収します。 粒径の情報と吸収性の情報を組み合わせることにより、 エアロゾルの種類を推定することも可能となりました。

下図
衛星搭載海色センサSeaWiFSのデータより計算された1998年1月と7月の エアロゾルの光学的厚さ(上)、粒径パラメータ(中、大きいほど大粒子)、 太陽放射吸収性エアロゾルの分布(下)(臼井 祟行 )
1月7月
光学的厚さ
粒径パラメータ
吸収性エアロゾル


エルニーニョによる乾燥状態の継続により、農場開発のために放たれた火が広がり、 大森林火災になりました。光学的厚さが1を越える期間が2ヶ月程続き、大量の粒子が大気中に 放出されたことがわかります。また、吸収性エアロゾルの解析データと比較すると、光学的厚さの 大きい領域の方が広がりが大きいことがわかります。これにより、インドネシア森林火災では地中 の泥炭層まで燃えて、硫黄系の気体が放出されてより遠方へ輸送され、 大気中でエアロゾルに変質したことが推定されます。

右図:NOAA衛星のAVHRRセンサのデータより計算された1997年9月から12月の インドネシア森林火災の様子。波長0.5μmでの エアロゾルの光学的厚さ(左)とオングストローム指数(右)(日暮 明子)