衛星による雲・エアロゾルの観測


衛星から得られた低層雲(水雲)の微物理特性衛星から得られた低層雲(水雲)の微物理特性

同じ雲を異なる波長で観測した場合、それぞれの波長で得られる物理量は異なります。 可視・近赤外域の波長では雲の光学的厚さ、雲頂付近の雲粒の有効半径を求めることが可能です。 またマイクロ波域の波長を用いて同じ雲の雲水総量を求めることも可能です。 このように様々な波長を用いて 観測を行うことにより更に詳しい雲の情報を得ることができる可能性があります。


可視・近赤外域の波長を用いて得られた雲の微物理特性

雲粒の有効半径は海上の方が陸上に比べて大きいことがわかります。 この現象は雲粒の核となるエアロゾル粒子の量が陸上では多く海上では少ないためだと 言われています。また、1月のアマゾン上空の有効半径は7月のものに比べて大きいことが わかります。これは1月が雨季のため雨滴によりエアロゾル粒子が除去され減少することによって 雲粒が大きく成長するからです。このように雲粒の物理特性はエアロゾルにより大きく 影響されます(Twomey効果)。
雲の光学的厚さからは、夏半球高緯度海上に厚い雲が発生していることがわかります。また7月のカルフォルニア沖、ペルー沖の厚い雲は、海洋の湧昇による大気の安定化により発生しています。陸上と海上を比べると、 一般に陸上の雲の方が光学的に厚くなっていることがわかります。

下図
1990年1月と7月における低層に存在する水雲の有効半径(上)と光学的厚さ(下)の月平均値 (河本 和明 : 現 NASA Langley 研究所)

上図:雲粒の有効粒径(μm)(左図:1月 右図:7月)

上図:雲の光学的厚さ(左図:1月 右図:7月)


マイクロ波域の波長を用いて得られた雲の微物理特性

下の2図を比較して見るとその分布が非常に似ているのがわかります。 低層の水雲は雲頂に近いほどその有効半径が大きいと言われているので左下図の領域では 雲の下層に大粒子が存在していることになります。雲が降雨を伴う際に雲粒が急速に成長し、 雲の下層に霧粒となって溜まるという現象が航空機観測からも報告されているので、 この様な粒子を観測している可能性が高いと思われます。
地球の放射収支は雲量や、雲の高さなどだけで決まるものではなく、その微物理特性によって 大きく左右されます。よって雲とエアロゾルの微物理特性を全球にわたって 解析することが気候変動の研究にとって重要であるといえます。

下図
1992年1月と7月の低層に存在する水雲の雲水総量(上)、 可視・マイクロ波域の波長を用いて得られた雲粒の有効半径と近赤外域の波長を用いて 得られた有効半径の比(1992年1月)(左下)、 1992年1月の降水量分布の月平均値(右下) (黒田 俊介)

雲水総量 (kg/m2)(左図:1月 右図:7月)

(左図:有効粒径比 右図:降水量)