気候システム研究センター主催
2009
一般公開講座


2009 一般公開講座「気候研究の20 - その黎明期から地球温暖化・環境変化の時代へ 」 開催のご案内

東京大学気候システム研究センター主催

日  時 

11月17日(火) 14:30〜17:00

場  所

東京大学 本郷キャンパス大講堂(安田講堂)
113-8654 東京都文京区本郷7-3-1
        
アクセスマップ

受付・入場

13:40〜14:30

参 加 費

無料

定  員

500人


※ 会場の都合により、定員に達した時点で申し込みを終了させて頂きます。
         要旨はこちら


  ※HPからのお申し込みは締め切らせていただきました。
   まだ席に余裕がありますので、当日、会場に直接お越し下さい。

 

プログラム

 

開  場

13:4014:30

 

第1部:講演会 

14:3015:55 

司会:気候システム研究センター准教授/佐藤正樹

気候システム研究センター長・教授/中島映至
  テーマ 「気候研究の20年」
気候システム研究センター教授/高橋正明
  テーマ 「風とオゾンを巡って」
気候システム研究センター准教授/渡部雅浩
  テーマ 「変わりゆく気候、変わりゆく気候研究」

休  憩

15:5516:15

 

第2部:
パネルディスカッション

16:1517:00

司会:佐藤正樹
  テーマ 「次世代の気候研究の展望」
パネリスト: 中島映至、高橋正明、渡部雅浩

 

 

 

 

 

 

東京大学 気候システム研究センター 一般公開講座2009
気候研究の  年,20
〜その黎明期から地球温暖化・環境変化の時代へ〜
2009年11月17日(火) 14:30-17:00 東京大学本郷キャンパス大講堂

 

 

 


 

 

 

第一部  講演会  (14:30〜15:55)  司会:佐藤 正樹 (気候システム研究センター 准教授)

『気候研究の20年』   中島 映至 (気候システム研究センター長 教授)

『風とオゾンを巡って』   高橋 正明 (気候システム研究センター 教授)

『変わりゆく気候、変わりゆく気候研究』   渡部 雅浩 (気候システム研究センター 准教授)

――――――――――― 休憩(20分) ―――――――――――

 

第二部  パネルディスカッション  16151700  司会:佐藤 正樹

パネリスト: 中島 映至 高橋 正明  渡部 雅浩

 

 

講演 1 . 気候研究の20

講師: 中島 映至 Teruyuki Nakajima

 

東京大学気候システム研究センター長、教授

日本学術会議会員、日本気象学会理事

1987年から1990年までNASA上席客員研究員

【専門】気候物理学、衛星リモートセンシング

【受賞歴】日本気象学会賞(1995年)、日産科学賞(2000年)

 

 気候システム研究センターは1991年に発足しましたが、その少し前から現在に至る20年間は日本のみならず世界の気候研究にとって、大きな変革期でした。この期間には、地球温暖化が顕在化しはじめ、気候問題が社会的にも大きな関心を呼ぶようになりました。実は科学者は20年前から、1990年代に入るとこのような現象が顕在化することを予測しており、そのために着々と準備をしてきました。まず、温暖化現象をはじめとする地球気候の再現と予測ができるしっかりとした数値気候モデルを開発してきました。これに関しては、教育と基礎研究を目的とした大学で果たしてこのような気候モデルが開発できるかが大きな挑戦でした。それが今、大学発のMIROC(みろく、若いひとたちが気候センターのシンボルともなっている弥勒菩薩にちなんでつけました)モデルが開発され、多くのユーザーが使う時代になりました。また、人工衛星などによる地球観測システムの開発にも大きな貢献をしてきました。この期間には、36チャンネルもある中規模分解能イメジャーや衛星搭載降雨レーダーが実現されて、これまでとは比較にならない詳細な地球画像が得られるようになりました。そして、その画像には大気汚染で汚れた北半球や変質する雲など、人間活動によってストレスを受ける地球が写っていたのです。

本講演では、この期間の気候研究の発展を振り返りたいと思います。来春から気候システム研究センターは海洋研究所と発展的に融合をして、新しい「大気海洋研究所」に生まれ変わりますが、このような成果を次のジャンプにつなげるために何をすべきかについても議論してみたいと思います。

 

講演 2 . 風とオゾンを巡って

講師: 高橋 正明 Masaaki Takahashi

 

東京大学気候システム研究センター教授

九州大学理学部助手、東京大学気候システム研究センター助教授を経て1998年より現職

【専門】大気科学

【受賞歴】日本気象学会賞(1994年)

 

オゾンは大気中の微量成分であるが、気候に重要な役割をはたしている。成層圏においては、紫外線を吸収して温度を上昇させることにより、安定な大気構造を形成し、対流圏大気に影響を与えている。近年、その成層圏オゾンが、南極域オゾンホールに代表されるように減少しつつあるという気候変化がおこり、それがどうなっていくのかが懸案になっている。我々は国立環境研と共同でその予測実験に資するモデルを作成し、これからどのように気候変化していくかを調べている。

 一方、対流圏においては、近年の人間活動によるNOx等の汚染物質放出により、大気中の化学反応でオゾン増加がおこり大気汚染影響が懸念されている。また、対流圏オゾンは温暖化物質の一つであり、オゾン汚染の多いところでは二酸化炭素と同程度の放射影響をもっており、場所によってその影響が大きく異なることが特徴である。

 成層圏オゾンと対流圏オゾンの2つの題材に関して、どのような現況にあるか、それがどのように気候変化しているのか、気候モデルではどのように予測されているか、また、両者を関係づけているグローバルな風の様子がどのようになっているかを紹介する。

 

 

講演 3 . 変わりゆく気候、変わりゆく気候研究

講師: 渡部 雅浩 Masahiro Watanabe

 

東京大学気候システム研究センター准教授

ハワイ大学客員研究員、北海道大学准教授を経て2007年より現職

「地球温暖化の科学」 (2007 北大出版会 共著)

【専門】 気候力学、気候モデリング

【受賞歴】日本気象学会 山本-正野論文賞

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第一次報告書からほぼ20年が経ちました。気候システムの研究はそれ以前からも行われていましたが、地球温暖化問題がクローズアップされるにつれ研究の規模が拡大し、全球の気候を再現する気候モデルの質も飛躍的に向上してゆきました。最近の世論調査では、8割以上の人が地球温暖化を身近に感じて行動に反映させているという結果が出ています。気候モデルを用いた気候研究においても、今や地球温暖化は欠かせないキーワードです。

一昨年公表されたIPCC4次報告書では、全球気温の上昇だけでなく、社会的に影響の大きな台風や熱波などの予測にも言及されています。このような極端気象現象の予測は20年前にはできなかったことです。一方、気候モデル群は近年の北極域の海氷面積減少を正しく予測できていません。気候モデルにはまだ多くの誤差や不確定な要素が含まれており、それらは詳細な気候に対する理解を通じてしか低減することはできません。より確実な将来予測のために、我々は第5次報告書を見据えた研究活動を開始しています。

以上のような話題を中心に、本講演では過去20年の気候の変化および気候システム研究が課題とする対象の変化をとりあげ、今後の気候研究のゆくえについて皆さんと一緒に考えるための材料を提供いたします。

 

 

講演会 パネルディスカッション

司会: 佐藤 正樹 Masaki Sato

 

東京大学気候システム研究センター准教授

1998年ケンブリッジ大学上席客員研究員

独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域・招聘主任研究員(兼務)

日本気象学会賞受賞(2007) 世界モデリングサミット招聘基調講演(20085)

世界で初めての全球雲解像モデルNICAMを開発し、次世代大気モデル研究を推進している

              【専門】大気力学、気候モデリング