北極海の海氷域は拡大をはじめました。

今後、海氷域は昨年よりも速く拡大していく見込みです。

ロシア側の北東航路では10月1日頃、多島海を除くカナダ側の沿岸では

10月18日頃に海氷域が沿岸に達し、航路が閉じるでしょう。

図1:今年10月1日から11月30日までの海氷分布。色は海氷密接度、単位は%。

北極海氷分布予報


2017年拡大期予報:2017926



木村詞明, 羽角博康


東京大学大気海洋研究所

北極航路の利用や海氷予測、ここで用いた予測手法についてご質問がある場合は、木村(kimura_n@aori.u-tokyo.ac.jp)までお問い合わせください。

この予測およびその基礎となる研究は、北極域研究推進

プロジェクト(ArCS)で実施しています

図2:10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布。色は海氷密接度、単位は%。

北極海の海氷域は9月13日頃に今年の最小面積に達したとみられ、現在は拡大をはじめています。今後の海氷域の拡大は昨年よりも早く進行し、ロシア側沿岸域では昨年より2週間早い10月1日頃、多島海を除くカナダ側では昨年より約1週間早い10月18日頃に海氷域が陸地に達し、航路が閉じるでしょう。


北極海の海氷面積は減少時と逆のパターンで増加していく傾向があり、早く海氷がなくなった海域(年)は、秋に海氷に覆われるのが遅くなります。そのため、ある場所での海氷のなくなる早さと秋の特定の日の海氷密接度との間には相関があります(図3)。この要因はいくつか考えられますが、早く海氷がなくなると海面がより温められやすく、秋の結氷が遅くなることがそのひとつと考えられます。そのため9月はじめの海水温と10月以降の海氷密接度の間にも相関関係が見られます(図4)。


この関係をもとに、今回の予測は2003年から2016年までの12年間(データの揃わない2011, 2012年を除く)のデータを用いて、5月1日から9月10日までの間の海氷が無かった(密接度が30%未満だった)日数と10月1日以降の日の海氷密接度との相関関係を用いて行いました。

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図3:9月10日までの海氷無し日数と10月以降の海氷密接度との相関係数。

図4:9月10日の海面水温と10月以降の海氷密接度との相関係数。