気候データのフォーマット
NetCDF
NetCDFとは、Network Common Data Formatの略で、気候データを取り扱う際の標準的なデータ形式の1つとして頻繁に利用されています。特に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次・第5次評価報告書のもとになるデータの収集プロジェクトである結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP3・CMIP5)では、この形式でデータがアーカイブされています。netCDFデータの解析・描画には、多くの無料ソフトが利用可能です。私が日常的にクイック・ルックに使用しているものはFerret(NOAA/PMEL)というソフトで、出版用の高画質な図の作成や比較的複雑なデータ解析に使用しているものはNCL(NCAR Command Language)というソフトです。両者とも、少なくとも研究用途には無料で、チュートリアルもしっかりしています。論文の謝辞には必ずその使用を記載するようにしています。また、大量データの一括処理やデータの抽出、ファイル同士の結合などには、NCO(NetCDF Operator)、CDO(Climate Data Operators)というソフトも非常に便利です。
netCDF関係: http://www.unidata.ucar.edu/software/netcdf/
Ferret: http://ferret.wrc.noaa.gov/Ferret/
NCO: http://nco.sourceforge.net/
CDO: https://code.zmaw.de/projects/cdo
Gtool
日本の代表的な全球気候モデルMIROCで計算された結果は、デフォルトではgtool形式というデータフォーマットで出力されます。ただし、このgtool形式にも圧縮方法によって細かく様々な形式があります。MIROC3の出力はgtoolコマンド群を用いて直接処理することが可能ですが、MIROC5以降の標準的に選択されている出力ではngtコマンド群を利用するかngtコマンドの1つ(ngtconv)を使用してgtoolコマンドで読める形式(UR4など)に変換してから処理する必要があります。詳細についてはご相談ください。
Gtoolに関連する便利なデータフォーマット変換ツール
ngtcf: gtoolからnetCDFに変換
gt2gr: gradsからgtoolに変換
ncgt: netCDFからgtoolに変換
ncgtax: netCDFからgtoolに変換(ncgtで netcdf -> gtool
の形式変換ができますが、運悪くgtoolが標準で持っていない軸情報ファイルが必要な場合が出てきます。そういうときにncgtaxを使うと、軸情報を netcdfファイルから読み取って軸情報ファイルを自動で作成してくれます。軸情報がなくても平面図などは描けますが、その場合には緯度経度で表現されていないため各種操作ができなくなります。[大石さん情報])
その他
私の周りではGradsという無料ソフトを利用している研究者が多くいます。