気候モデル
参考図書
江守正多
(2008):『地球温暖化の予測は「正しい」か?』, 化学同人.
時岡達志・山岬正紀・佐藤信夫 (1993):「気象の教室5 気象の数値シミュレーション」, 東大出版会.
Washington,
W. M. and C. L. Parkinson (1986): An Introduction to Three-Dimensional Climate
Modeling. University Science Books, Mill Valley, CA, USA, 422pp.
Trenberth, K. E. (1992): Climate
System Modeling. Cambridge University Press, Cambridge, UK, 788pp.
McGuffie, K. and A.
Henderson-Sellers (2005): A Climate Modelling Primer.
John Wiley and Sons Ltd. Third edtion, Chichester, West Sussex, UK. 280pp.
Randall,
D. A. eds. (2000): General Circulation Model Development. Past, Present, and
Future. International Geophysics Series, Vol.70, Academic Press, San Diego, CA,
USA, 803pp.
Jacobson,
M. Z. (2005): Fundamentals of Atmospheric Modeling. Second edition, Cambridge
University Press, Cambridge, UK, 813pp.
まず江守さんの本を読んでイメージを掴んでみるとよいと思います。
世界の気候モデル
世界のいくつかの国では気候システムを表現する数値モデルが開発され、将来予測などに役立てられています。これらを使用して行なわれた20世紀再現や将来予測シミュレーション結果は、世界気候研究計画(WCRP-World
Climate Research Project)の結合モデル比較プロジェクト(CMIP)のもとアーカイブされ、簡単な登録手続きの後、インターネットを経由してアクセスできるようになっています。CMIP3データを解析した研究論文はIPCC-AR4に中心的知見を提供し、CMIP5データを解析した研究論文はIPCC-AR5に貢献する予定です。世界にどんなモデルがあるのか、どんな実験が行われているのか、解析してみたい、という人は以下のページから始めるのがよいでしょう。
CMIP3:http://www-pcmdi.llnl.gov/ipcc/about_ipcc.php
CMIP5:http://cmip-pcmdi.llnl.gov/cmip5/
日本の気候モデル
CMIPにデータを提供している日本の気候モデルは大きく分けて2つあります。1つは気象庁気象研究所で開発維持管理されているモデル(MRIモデル)で、もう1つは東京大学大気海洋研究所(旧・気候システム研究センター)、国立環境研究所、海洋開発研究機構で共同開発維持管理されているモデル(MIROCモデル)です。ここでは、私が実際に研究に使用しているMIROCモデルについて簡単に説明します。
CMIP3には、MIROC3m(T42/L20)とMIROC3h(T106/L48)が使用されました。両者の違いは解像度で、それぞれ中解像度版と高解像度版と呼んでいます。モデルの中身については以下のドキュメントを参照してください。
MIROC3:K-1 Model Developers, 2004: K-1 Coupled Model (MIROC) Description.
K-1 Technical Report 1 [Hasumi, H., and S. Emori
(eds.)]. Center for Climate System Research, University of Tokyo, Tokyo, Japan,
34 pp., http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/kyosei/hasumi/MIROC/tech-repo.pdf.
CMIP5には、MIROC-ESM(T42/L80)、MIROC4h(T213/L56)、MIROC5(T85/L40)が使用されています。MIROC-ESMは地球システムモデルでMIROC3に比べて鉛直解像度の増加、Leaf Area Indexの予測、炭素循環モデルコンポーネント、大気化学過程が加えられたのが特徴です。このモデルは主に数百年先までの長期予測に利用されます。MIROC4hはMIROC3hをさらに高解像度化したモデルで、主に数十年先の近未来予測に利用されます。MIROC5はMIROC3の主要な物理過程を新しく改良したものです。それぞれのモデルの詳細については以下のドキュメントを参照してください。
MIROC5:Watanabe, M., and Coauthors, 2010: Improved climate simulation by
MIROC5: Mean states, variability, and climate sensitivity. J. Climate, 23, 6312-6335.
MIROC-ESM:Watanabe, S.,
and Coauthors, 2011: MIROC-ESM 2010: model description and basic results of
CMIP5-20c3m experiments, Geosci. Model Dev., 4, 845-872, doi:10.5194/gmd-4-845-2011.
その他に、全球雲解像モデルとして知られる、非静力学正20面体格子大気モデル(NICAM:http://nicam.jp/hiki/)などがあります。
NICAM:Satoh,
M. and Coauthors, 2014: The Non-hydrostatic Icosahedral
Atmospheric Model: description and development. Progress
in Earth and Planetary Science,
1:18