北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)への参画

概要

期間: 2020年6月〜2025年3月(予定)
資金制度: 文部科学省
プロジェクト名:北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)
研究課題名: 気象気候の遠隔影響と予測可能性
課題代表者: 本田 明治(新潟大学)
役割(吉森): サブ課題代表者,研究分担者

課題:気象気候の遠隔影響と予測可能性

サブ課題3:北極域温暖化増幅のメカニズム(PI: 吉森)

背景


吉森 正和 (2019): 2017年度秋季大会シンポジウム「北極域」の報告: 北極温暖化増幅のメカニズムと将来予測. 天気, 66(3), 214-219.

研究内容


これまでのGRENE北極気候変動研究事業及び北極研究推進プロジェクトArCSの研究から、どの気候フィードバック・プロセスがどのくらい北極域温暖化増幅に寄与するか、将来予測シミュレーションについてはある程度明らかになってきた。一方で、観測的事実による裏付けは十分とは言えない。このような裏付けを妨げる要因には、近年の北極温暖化において内部変動の影響を分離することが困難なことに加え、気候フィードバック・プロセスの気象学的実体が不明瞭なままであることがあげられる。本サブ課題では、最近国際的にも注目されている大気による北極域への水・熱輸送などについて、北極温暖化への寄与の解明と輸送に付随する大気場の特徴を整理することによって、気候フィードバックの理解と実体の把握に繋げる。サブ課題1、2との連携の下、気象を通して北極域の気候変動メカニズムを理解することによって、近年の比較的短い期間のデータから得られる知見を長期的な将来予測における北極温暖化増幅メカニズムの理解と信頼性評価に役立てる。研究には主に既存の再解析データやモデル実験データを使用するが、大規模アンサンブルデータを積極的に活用することによって、国際研究コミュニティに不足している統計的なロバスト性の検証に貢献する。サブ課題2から得られる十年規模の変動に関する理解と有機的に結びつけることによって、北極温暖化における内部変動と長期的変化の区別や理解を促進することも目指す。また、北極域の気温変化を全球平均気温変化に関連づけることによって、関連課題で示される北極域環境変化予測の地球温暖化に関わる諸政策議論・気候変動適応策への活用に資する知見の提供を目指す。