廣田渚郎(nagio(at)aori.u-tokyo.ac.jp)

 


気候変化(修士課程の研究)

 図の底面地図上の色は1979-2003年における6月の降水量変化を示しています. 最近25年間で,降水量は,中国や日本など梅雨前線帯で顕著に増加し(例えば九州付近で9mm/dayから17mm/day程度に増加), その南側のフィリピン付近などで減少しています.その他,北東アジアの減少や西部シベリアの降水量の増加も統計的に有意な変化です.

 この降水量変化には大気場の変化が密接に関係しています. この25年間で,中国や日本がより低気圧的になり,フィリピン付近はより高気圧的になっています. それと地衡風バランスする南西風がより多くの水蒸気を梅雨前線帯に運び(底面矢印:水蒸気フラックスの鉛直積分値), 梅雨前線帯の降水量の増加とその南の減少と対応します.

 図の上層の凸凹面は300hPa面の高度場(気圧と対応)の変化,矢印は大気波動の流れを示しています. 中国への,シベリアや亜熱帯ジェット上の大気波動の流れが見えます.シンプルモデルによる数値実験からも, この大気波動の中国の低気圧偏差への寄与は裏付けられます.梅雨前線帯では降水量増加に伴う凝結加熱も大きく, 対流活動による気圧偏差場へのフィードバック(降水量の増加→加熱→上昇流→下層で収束→降水が更に増加) も重要な役割を果たしていると考えられます.


1979-2003
年の梅雨期(6月)気候の変化の様子

業績.docx

 


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