気候システム研究センターへようこそ。本センターは1991年に全国共同利用施設として東京大学に設置されて以来、気候システムのモデリングとデータ解析を通して、気候システムに関する研究を精力的に行ってきました。このような研究を通して、気候研究、温暖化研究、大学院教育、若手研究者の育成に関して大きな貢献ができたと思っています。
このような気候システム研究センターの活動を通して感じるのは、自然、そして気候現象がいかに複雑で多様性に満ちており、しかしなおかつ美しく調和の取れたものであるかと言うことです。モデルによるシミュレーションは相変わらず不器用な自然の模倣であると思いますし、また観測から教えられるべきものが多くあります。しかし、IPCC、WCRP、IGBPなどの国際プロジェクトや国内においては地球シミュレーターに関するプロジェクトなどによって真剣なモデルの改良とデータ解析が続けられており、その意味ではこの10年間は気候システム研究にとって飛躍のディケードになると思います。その中で、局地気候の再現、人為起源物質が作り出す温室効果と日傘効果など、より自然に近い複雑さがモデルに付与されつつあり、モデルは確実に自然に肉薄しつつあると言えます。
大学法人化のなかで、社会と大学の接点の重要性が問われはじめていますが、この飛躍のディケードのなかで、われわれは気候システム研究の成果が思いもよらない魅力的な形でみなさんの生活の中に登場することを信じています。
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