海氷最小期にあたる9月10日の北極海氷域面積は、約466万平方キロメートルと予想されます。これは昨年とほぼ同じ値です。また、第一報の予測値よりやや小さくなっています。
夏季の北極海氷面積は最近数十年の間に急速に減少してきていましたが、2013年以降はその減少傾向がみられなくなっています。今年も海氷面積が昨年までと比べて大幅に減少することはない見込みです。
・ロシア側海域の特徴
東シベリア海では昨年と似た分布を保ちながら、周辺海域より遅れて海氷域が後退します。一方で、東シベリア海とラプテフ海の間にあるノヴォシビルスク諸島周辺の海氷は例年より早くなくなる見込みです。カラ海周辺での海氷域の後退は、昨年よりやや遅くなります。特にラプテフ海との間にあたるセヴェルナヤ・ゼムリャ諸島周辺の海氷後退が遅く、9月に入っても海氷が残りやすい見込みです。 このため、海氷が大陸から離れロシア側の開水面域がつながるのは、昨年より遅い8月15日頃と予想されます。
・カナダ側海域の特徴
チャクチ海からボーフォート海にかけてのアラスカ・カナダ沖海域では、昨年より早く海氷域が後退します。このため、北アメリカ大陸沿岸は、昨年より早い7月13日頃に開水面域がつながり、航路が開通する見込みです。※最新の観測によると、6月27日現在、すでにほぼ開通の状態にあります。
・多年氷分布の特徴
多年氷(昨年の夏以前からある厚い海氷)はグリーンランドからカナダ多島海にかけての沿岸と、ボーフォート海中央部に分布しています。今後もこの分布がほぼ維持される見込みです。また、風向きによっては、多年氷がカナダ沿岸に接近する可能性があります。
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この予測計算には人工衛星搭載の国産マイクロ波放射計AMSR-EおよびAMSR2による観測データを用いました。海氷分布予測は6月15日までの海氷の動き、多年氷分布予測は6月15日時点での多年氷分布をもとに行なっています。予測の手法については、昨年の第一報をご参照ください。また、図2の中の昨年までの海氷域面積は気象庁による集計値を用いています。
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毎日の予測図は国立極地研究所の北極域データアーカイブでも見ることができます。