北極海の海氷域は拡大をはじめました。

今後の海氷域の拡大のはやさは昨年とほぼ同程度の見込みです。

ロシア側の北東航路では10月7日頃、多島海を除くカナダ側の沿岸では

10月20日頃に海氷域が沿岸に達し、航路が閉じるでしょう。

図1:今年10月1日から11月30日までの海氷分布。色は海氷密接度、単位は%。

北極海氷分布予報


2016年拡大期予報:2016928



木村詞明, 羽角博康


東京大学大気海洋研究所

北極航路の利用や海氷予測、ここで用いた予測手法についてご質問がある場合は、木村(kimura_n@aori.u-tokyo.ac.jp)までお問い合わせください。

この予測およびその基礎となる研究は、北極域研究推進

プロジェクト(ArCS)で実施しています

図3:10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布。色は海氷密接度、単位は%。

北極海の海氷域は今後拡大していきます。10月中に海氷域は陸地に達し、ロシア側、カナダ側ともに開水面域が閉じます。


この予測は、9月22日の海氷密接度をもとに行いました。10月以降の海氷密接度は同じ場所の9月の海氷密接度と高い相関があります(図2)。これは、9月に海氷密接度の低い年は10月以降の密接度が低い(海氷域の拡大が遅くなる)ことを意味しています。


今回の予測は2003年から2015年までの11年間(データの揃わない2011, 2012年を除く)のデータを用いて9月の海氷密接度と10月以降の密接度との関係を算出し、その関係をもとに今年の9月22日の海氷密接度から10月以降の密接度を予測しました。


同じ傾向を持った高い相関は8月1日の海氷密接度との間にもみられ、海氷が早くなくなるほど海氷の張り出しが遅くなる傾向があります。

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図2:9月22日の海氷密接度と10月以降の海氷密接度との相関係数。過去11年分のデータをもとに計算。