地球の気候システムは、太陽放射の強制や、大気・海洋・陸域植生・氷床など多様な要素の相互作用によって、 さまざまな時間スケールで変動しています。現代の文明社会は、比較的穏やかで安定した気候のもとで繁栄してきましたが、 近年では急速な温暖化の進行に伴う将来への影響が懸念されています。このような現在の状況は過去と比べてどれくらい特殊なのでしょうか? また、長期的な将来にはどのような影響が予想されるでしょうか?
私は、過去に起きた気候変動のメカニズムや、将来の長期気候変化に関心を持ち、 主に数値気候モデルを用いて、地球気候の安定性や脆弱性を研究しています。 これまでの研究では、氷床掘削試料の分析から見つかっている数千年周期の急激な温暖化・寒冷化サイクル (ダンスガード・オシュガーサイクル)に着目し、 気候モデルによる再現実験などを通じて発生要因を調査してきました。この気候変動は海洋深層大循環の急激な変化と結びついていると考えられてきましたが、 「そもそもなぜ、どうやって過去に海洋循環が急変したのか」という根本的な問題があります。 私は、こうした過去の自然変動メカニズムの解明や、将来の海洋循環変化がもたらす長期的影響の理解を目指しています。
なお本論文は出版後一年間の引用数が多く、Wiley のTop Downloaded Article (上位10%以内)として表彰された.