東京大学 大気海洋研究所 気候システム研究系
東京大学 大気海洋研究所 気候システム研究系

気候変動現象研究部門の主な研究テーマ

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地球温暖化の物理的理解

20世紀後半以降の温暖化が人間活動により生じたことにもはや疑う余地はありませんが、既に起こりつつある様々な気候システムの変化について物理学的に解明されていない課題はまだ多く残されています。それらの問題に、全球気候モデルなどを用いた数値的アプローチで取り組んでいます

自然の気候・気象変動(エルニーニョ、10年規模変動、異常気象)のメカニズム

気候は複雑かつ非線形なシステムで、仮に外力が一定でも、さまざまな時間スケールで気候・気象の変動が自発的に生じます。特に、社会に大きな影響をもたらす、異常気象からエルニーニョ、さらに10年規模の気候変動のメカニズムを、気候モデルを用いて理学的立場から明らかにする研究を行っています。

雲降水と気候のマルチスケール相互作用の解明

地球の気候形成には、水蒸気・雲・雨・雪氷・海水と様々な形態の水が重要な役割を果たしています。水の介在によって、雲粒の生成から、熱帯対流、エルニーニョ、地球温暖化まで時間空間スケールの異なる現象が互いに影響し合います。本部門では、その複雑な気候システムの形成と変動の仕組みを物理的に理解し紐解くため、最新の人工衛星によるリモートセンシングデータなどの地球規模の観測データ、再解析気象データ、気候モデル実験データ等を用いて研究しています。

極端降水メカニズムの解明

特に近年は、気候変動に伴う降水の激甚化などが社会問題となっています。降水形成の物理過程と気候状態との相互関係を調べ、地球規模の気候変動が地域的な極端降水に影響するメカニズムを理解するための研究を行っています。

過去の気候変動の理解と将来予測への貢献

過去の気候・環境変動の謎を解明することは、それ自体たいへん興味深い課題です。加えて、過去を知ることは、人類が経験したことのないほどの大きな将来の変化について考えるのにも役立ちます。単に鏡に映る未来像を地球史の中に探すのではなく、変動メカニズムの理解を通して古気候から学んだことを将来予測に役立てる研究に取り組んでいます。

極域気候変動メカニズムの解明

過去の気候変動からは極域において温度変化が大きく現れることが知られており、現在進行中の地球温暖化でも北極域の地表付近で秋から冬にかけて顕著な昇温が見られます。極域では、大気-海洋-海氷の相互作用や気候-氷床の相互作用など、他地域とは異なる物理過程も考慮したメカニズムが重要であり、こうした極域気候システムの統合的理解に取り組んでいます。

統合陸域モデリング

人類は陸域で生活しており、気候がわずかに変化しただけでもその社会影響は甚大です。また陸域は、地球システムの重要な要素の一つであり、気候に与える影響も無視できません。気候から陸域への影響と陸域から気候への影響を精確に推定するために、陸域での地質的・物理的・化学的・生物学的プロセスに加え人為的・社会的プロセス等を組み込み、より高い時空間分解能で表現した統合陸域モデルを開発し、単体や大気モデル・海洋モデルと結合して用いることで様々な研究を行っています。

水の同位体比を使った地球水循環の解明

地球上の水は、とても簡略化すると海洋→蒸発→大気→凝結→陸域→流出→海洋という具合に循環していますが、その詳細は極めて複雑です。水の同位体比は、水が相変化する際に決まった変化をすることが知られており、複雑な水循環過程を追跡するための目印になります。この水同位体の特徴を組み込んだ気候モデルや人工衛星も使った観測によって、地球水循環過程の解明に取り組んでいます。


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